リフォームコラム

集合住宅リノベーションと税効果-1

1. リフォームとリノベーションとの違い

リフォームとリノベーションとの違いをご存知でしょうか?
リフォームもリノベーションも、既存の建物に手を加えることでは一致しています。どちらも古くなって壊れたものの修理や、機能の良いものへの設備の取り換え等、住まいをきれいにしたり住み心地の良い部屋へ変えてみたりとする点では同じです。
しかし似ているようではありますが考え方に違いがあり、税務上の取り扱いにも違いがあります。

まず、その際の資金や工事の過程についてのイメージは

リノベーション≧リフォーム

といった感じになります。
つまり、リノベーションの方が大掛かりな工事になるわけです。

税務上でのリノベーションの考え方は、既存の建物に大規模な工事を行い、現状のものよりデザイン性の向上をしたものに取り換えたり、機能や性能を向上させることを意味します。つまり、もともとあった機能を上回る、新たな機能の追加と考えられます。間取りの変更などはその典型的なものとなります。

リノベーションの例

原則として次に該当するようなものはリノベーションとして考えられます。

  • 窓のサッシの取り換えの際→遮音効果の高い物への取り換え
  • 屋根の葺き替え→遮熱効果の高い屋根への工事等
  • 建物に新たに非常階段を取り付けた場合
  • 間取りの変更

これと比較すると、リフォームはもう少し簡単なものになります。
既存の建物の見栄えを新しくすることで、老朽化した建物や内装を新築の状態に戻すことを意味します。
つまり、古くなったものに手を加えることで、元の新築当時の性能へよみがえらせることであり、元の性能や機能以上のものにはなっていない点がポイントです。これを、税務上では原状回復といいます。

リフォームの例

原則として次に該当するようなものはリフォームとして考えられます。

  • 外壁の塗り替え
  • 屋根の葺き替え
  • 壁紙の張替え
  • 壊れた給湯器の取り換え

2. 集合住宅のリフォームとリノベーションの税務上の取り扱い

リフォームとリノベーションは似たようであって違うことがおわかりいただけたと思いますが、ここからは両者の共通した税務上の取り扱いについて概要を説明します。

所得税もしくは法人税の計算

支出した費用

所得税上の経費に計上でき、もしくは法人税上の損金の額に算入されます。経費、もしくは損金の額に算入する金額は一度の経費になるのがリフォームで、数年に分けて経費になるのはリノベーションです。

借入金で賄った場合

支払った利息は、経費もしくは損金の額に算入されます。これは、両者ともその年に支払った利息全部が対象となります。結果として、経費が増えるため所得税や法人税の額を減少させる効果があります。

相続税

個人で所有する不動産について行ったリフォームやリノベーションの金額は、相続税でも税務効果があります。借入金で賄った場合でも、預貯金を取り崩して支払った場合でも、所有する財産を減少させる効果があります。リフォーム等でかかった費用の金額は、その方の相続税の実効税率分部分がそのまま減少することになります。

安藤 かずえ(あんどう かずえ)

税理士(東京税理士会所属)
行政書士(東京都行政書士会所属)
有限会社バジェットプランニング 代表取締役
株式会社イーグル 取締役

《略歴》
税理士資格取得後、総合コンサルティング会社、および都内税理士事務所にて資産税コンサルティングを担当。その後、一般企業にて財務コンサルティングを担当。

  • ・平成3年 税理士試験合格
  • ・平成8年 安藤かずえ税理士事務所を設立して渋谷区で独立開業
  • ・平成15年 他地域3人の税理士とともに税理士法人を立上げ
  • ・平成16年 税務訴訟補佐人登録

F&Mパートナーズ税理士法人東京事務所 代表社員として、現在に至る

《資格等》
東京税理士会所属税理士
税務訴訟保佐人
行政書士

《講演》
生命保険会社・大手ハウスメーカー・金融機関・商工会議所・その他資産家向けの各種セミナー

《座右の銘》
『前進あるのみ』

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